そもそもスノースポーツは、非日常的な環境で、非日常的な運動をし、仲間とワイワイしていられるだけで十分楽しいのですが、
やるからには上手くなりたい、上手くなったらもっともっと楽しいはず…と、どハマりしていく方も多くおられます。
そんな中でスキー検定1級は、多くのスキーヤーの憧れであり、1級を持っていれば立派なスキー上級者とも言われます。
私がスキースクールで働くようになってからも、毎年多くの方が合格を目指してトレーニングに励み、検定にチャレンジされています。
私自身は、6回目のチャレンジでなんとか(ギリギリ)合格することができました。
大人になってからスキーを始め、出産や育児などでブランクもあったアラフィフ女子が、どのようにして1級合格へとたどり着いたのか、参考にしていただけると幸いです。
はじめに
まずはじめに、この記事には、スキー検定1級に合格するためのテクニック…的なことは書いていません。
私はそんなことを語れるほど上手じゃありませんし、何よりスキーの3Dでの動きを、言語化して文章にするのはとても難しいと感じています。
ですのでこの記事では、そもそもレジャースキーヤーだった私が、どのようにして紆余曲折しながら1級合格にたどり着いたのか。
良き先生との出会いであったり、励まし合える仲間との出会いであったり、検定を受けるタイミングであったり。
そういった観点からの1級合格への道のりをお伝えし、「検定に興味はあるけど受けたことがない」「受けてみたいけど不安だな」という方を応援したいと思っています。
SAJ公認スキー検定の存在を知る
私がSAJ公認スキー検定を知ったのは、プロフィール内にも書いているのですが、白馬のとあるホテルにて住み込みバイトをしていた時です。
同じように住み込みバイトに来ていた他の方がとても熱心な方ばかりで、私にも
「ここに来たからには、2級とか1級とか、目指してるんだよね?」と、当然のように訊ねてきました。
そんな世界のことは全く知らなかったので素直にそう答えたのですが、バイト仲間と初めて一緒にゲレンデに立った時には、すでにトレーニングは始まっていました。
住み込みバイト1年目 2級合格
住み込みバイトは、23歳の時と24歳の時の2シーズン、同じホテルでお世話になりました。
わりと大きなホテルで、お手伝いに来ている地元のおばちゃんやバイトメンバーもたくさんいて、無料で借りられる3枚のリフト券をみんなで順番に使うシステムでした。
休憩時間を利用してみんなとワイワイ楽しく滑りながら、2級検定にはどういった検定種目があり、いつ、どのコースで検定が行われるのかなど、詳しいことを教えて頂きました。
20年以上前のことですが、検定種目は今と同じ3種目だったような気がします。面倒見のよい先輩方のおかげで、一発合格することができました。
住み込みバイト2年目 1級不合格
1シーズン目が終わった後、一旦地元の関西に戻って他のバイトをし、次の冬がきてまた白馬のホテルに戻りました。
1シーズン目は履歴書を送って、面接がわりの電話ミーティング(今だったらzoomとか、ビデオ通話とかで面接するのかな)をしましたが、
2シーズン目は電話一本で「おいで〜」と言ってもらいました。ありがとうございます!
1シーズン目とはバイトメンバーがガラリと変わっていて、2シーズン目は若い人が多く、スノーボーダーが多くなっていました。
某大学のスキー部から学生たちが派遣されてきていて、彼らと一緒に1級を目指してトレーニングしましたが、このシーズンに受けた検定では大回りがー1点で不合格でした。
当時の1級の検定種目には、コブはまだ無くてステップターンという種目があり、あとは大回りと小回りと…他にもう1種目あったと思うのですが、忘れてしまいました。
20年ぶりに1級合格を目指してみる
一番下の子どもが小学校に入学したことをきっかけに、少し自分の時間を持てるようになった頃、急にまた1級合格を目指してみたくなりました。
子どもたちが小さい頃から家族でスキーに行ったりはしていたのですが、我が家の子どもたちは花より団子派なので、滑る時間より休憩時間の方が長い状態でした。
子どもたちが楽しければそれはそれでいいのですが、地元の一番近いスキー場には車で1時間以内で行くことができますし、
子どもたちが登校してから帰ってくるまでに、一人で滑りに行く時間は十分あるな…と、私の中のやる気スイッチがオンになったのです。
2019年 シニア&レディースレッスンに参加するも不合格
本格的に1級合格を目指して再開した1年目は、地元スキー場で開催されている『シニア&レディースレッスン』なるものに参加してみました。
このレッスンは2週に1回、ほぼ同じメンバーで同じ先生に教わり、全3回のレッスン終了後には検定にもチャレンジしよう!という内容のものでした。
一人で練習していても何から始めたら良いのか分かりませんし、検定に関する情報も欲しかったので、シーズンが始まると同時に申し込みました。
この時のメンバーの中に、すでに1級には合格してるけど、自己研鑽のためにその年も参加されている…という方がおられ、
その方に検定バーンを教わったり、いつの間にやら加わっていた新種目の不整地小回りの練習にもお付き合いいただきました。
私のために多くの時間を割いてくださったその方のためにも、ぜひ合格を勝ち取りたかったのですが、そのシーズン中にコブが滑れるようにはなりませんでした。
コブではない不整地で小回りでもよかったのですが、どんな雪質かわからないボコボコ斜面を行くより、
ズルドンでもいいから練習の成果を発揮できる方がいいかな〜と思ったのですが、ズルドンでは合格できませんでした。
たくさん雪が降った後でないとコブはできませんし、コブがあっても朝イチのカチコチバーンでは危なくて練習できませんし。
この頃は私の練習時間も1日3時間ほどだったので、練習不足でした。
2020年 記録的少雪シーズン、練習不足にて不合格
スキー再開2年目のこの年は、地元スキー場が1月末になってようやくオープンするという、記録的少雪のシーズンでした。
途中でクローズする日もあったりしながら、オープン期間はトータルで30日もなかったのではないかな、と記憶しています。
私自身の練習日数は10日もあったかどうか…という状況でしたが、せっかくなので検定も受けておこうと、そのシーズン最初で最後の検定にチャレンジしてみました。
それがもう、今考えてもめちゃくちゃ無謀でした。はっきり言って、受けなければよかったです。
もし身近にそんな状況で受験してみるという方がおられたら、全力で反対します。
不整地小回りを一番最初に頂上付近のコース(急斜面)で行い、その下のコース(緩斜面)で他の種目を行うということを、受験料を払った後で教えてもらいました。
申し込む前に聞いて、やめておけばよかったと後で思いました。その時はそれなりに気合も入っていましたし、なんとかなる!って思ってたんですけど。
雪が少ないのでそのようにしか検定バーンが設定できなかったわけですが、一種目目がインスペクション無しの不整地小回り。
そのスキー場の頂上付近は急斜面な上に視界も狭いので、もう恐怖しかありませんでした。
深いコブが1レーンと、その横のザクザクストップ雪不整地。どちらか好きな方をお滑りください…ですと?
前走の方が転びそうになりながら滑って行くのを見てさらに恐怖心がアップしたものの、不整地の方を転ばずに降りられた自分を褒めてあげたかったです。
この時にはまだ横滑りという種目もあり、シャバシャバの緩斜面で行われた横滑りもものすごく難しく、途中で止まってしまいそうでした。
結果は、小回り以外69点という自分史上最悪の点数を叩き出してシーズン終了となり、後味の悪いシーズンになってしまいました。
2021年 コブを好きになり、不合格2回からの合格!
スキー再開3年目の46歳の冬、私はもう一度『シニア&レディースレッスン』に参加しました。
正直、このシーズンの『シニア&レディースレッスン』から得るものはあまりなかったように思います。理由は色々あるのですが。
ただ、2年前のこのレッスンでは年上のお友だちが何人かでき、またこのシーズンには年下の同性のお友だちができるなど、嬉しいこともありました。
雪にも恵まれたシーズンで、いつもゲレンデ内のあちこちにコブができていたので、コブばかり滑っていました。
転んでは立ち上がり、転んでは立ち上がり…して、少しずつ滑れるようになっていくのがとても楽しかったです。
コブは習うより慣れろと言う人もいますが、ある程度滑れるようになるまではホントそうだな、と思います。
ところがこのシーズンは、コブばかりに注力していたからか、1回目の検定では大回りで69点を取り、2回目の検定では大回りと小回りで69点を取ってしまいました。
せっかく不整地小回りで70点を取れるようになったのに(涙)
特に大回りを連続で落としてしまったことに、もう1級に合格なんて一生無理だ!と悲観的になってしまいました。
それを見かねた知り合いが、おとなりのスキー場のスクールの先生を紹介してくれたのでした。現在でもお世話になっている、尊敬してやまない師匠との出会いです。
翌週私は師匠のレッスンに初めて参加させてもらったのですが、師匠の丁寧で分かりやすい教え方に感動したのを今でも覚えています。
しかもそのレッスンは女性メンバーが多く、だいたいいつも同じメンバーで受けているとのことで、とても温かくて意心地の良いグループレッスンでした。
そのレッスンの終わり際に、師匠と新しくできたスキー仲間に、絶対直近で行われる検定を受けるべきだ!と勧められました。
その前の週末に不合格になったばかりの私は、とてもとてもそんな気持ちになれなくて、2回くらい「無理です」と答えたのですが。
受けると返事をしなければレッスンが終了しない雰囲気だったので、しぶしぶ受けることを承諾し、2週連続で検定を受けることとなったのでした。
結果的には、大回り70点、小回り69点、総合滑降70点、不整地小回り71点で無事合格することができました!
またもや小回りを落としてしまったのですが、コブがまさかの加点でギリギリ合格。嬉しすぎてスクール前ではしゃいでしまいました(笑)
師匠と、師匠のステキな仲間たちとの出会いに、感謝の気持ちでいっぱいでした。
まとめ:失敗から学んだこと
結局のところ、私は20代前半の頃に1回と、44歳で再び1級合格を目指してからの5回、トータル6回1級を受験しました。
受けなくてもよかったな〜と思ったシーズンもありましたが、そんな中でも受けたからこそわかったこともあります。
なるべく雪が良い間に受ける:シーズン終わり間近であったり、雪の少ない時期の受験は、単純に雪質が悪くて滑りにくい
得意な雪質や斜度がある:なので、何度もチャレンジしてみる
朝イチに焦ってコブの練習をしない:朝イチはカチコチだったりモフモフだったりして、練習してもうまく滑れなくて恐怖心が増すので、インスペクションの時にしっかりバーンを見て作戦を立てる
自然が相手のスポーツなので、雪の状況によっては思うような練習ができないことも多々あります。
ですのでシーズンの早い内に、いつどこで行われる検定を受けるのか目安を決めておいて、できる時にできることを全力でやって準備をしておくのが大切です。
それと、励まし合える仲間も大切です。1級合格を目指して爆走した3年間、私はたくさんのスキー仲間に出会うことができました。
それを無くして1級合格はあり得ないと思っていますし、日々のトレーニングを続けることすら難しかったと思います。
なかなか仲間なんてできないよ…という方は、私が参加したような、毎回同じメンバーで受けられるレッスンなどに参加してみられると良いと思います。
友だちの輪がどんどん広がって、褒めたり褒められたり、応援したりされたり、スキーライフがとても充実したものになりますよ!
もしスキー検定1級に少しでも興味をお持ちの方は、思い切ってチャレンジされることをオススメします!